文章による表現に加え、アニュアルレポート/統合レポートの制作ではデザインが大きな役割を担います。「レポート デザイン」では、実例を交えながら、デザイン上の工夫や近年のトレンドなどをご紹介していきます。
第2回は、「セガサミーホールディングス アニュアルレポート2014」の中から、ビジュアル訴求力の高いページを採りあげます。「伝えたいこと」が「印象的に」読者に伝わるよう、宇宙空間のイメージ写真がうまく使われています。読者の心をつかみ、関係性がひと目でわかるインフォグラフィックとなっているのが特長です。
理解促進につながる印象的なイメージ写真
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グループの概要図
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エンタテインメント業界地図
グループの概要図の背景には「銀河系のイメージ写真」を、エンタテインメント業界地図には「惑星のイメージ写真」を使用し説明されている二つの見開き。
図形や矢印だけを使用した簡潔なチャートではなく、多くの人が想像しやすい画像を用いることで、読者は要素間の関係性を頭の中で描きやすくなっており、理解促進につながる。
また、直接的な表現ではなく、擬態化させて見せることで、「なんだろう?」と思わせる掴みになり、印象的な形で読者の記憶に残すことができる。
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「伝えたいことだけ」に絞られた簡潔さ
宇宙の写真のダイナミズムが失われないよう、載せる要素は簡潔に絞り込まれている。
セガとサミー2社のDNAが中心の「革新の遺伝子」に向かって吸収され、事業が幅広く展開されている、ということがひと目でイメージできる仕組みになっている。
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インフォグラフィック本来の役割も効果的に
エンタテインメント業界の市場規模を、数字やグラフではなく惑星に擬態化させて表現。惑星の大きさは、市場規模の大きさを表わしている。
また、それぞれの事業にあわせてカラーリングされているため、どの惑星がどの事業のものかもわかりやすい。
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読者の心をつかんだ後が重要
ビジュアルで読者を惹きつけたうえで、データやグラフを使用して詳細を説明。概念や規模感は画像でダイナミックに、具体性のある詳細な情報は見やすいデータやグラフで、見せ方にもメリハリがつけられている。